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川辺 勝也
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川辺 勝也 245

年をとることは老いることではない ー 私が「熟成」という言葉に込めた想い

年をとることは老いることではない ー 私が「熟成」という言葉に込めた想い

「あなたは年をとることをどう捉えていますか?」

この問いに対して、多くの人は複雑な感情を抱くのではないでしょうか。若さの喪失、体力の衰え、可能性の縮小。現代社会において、「年をとる」という事象は、しばしば衰退や限界、あるいは不可避な「老い」というネガティブなイメージと結びつけられがちです。

特に日本社会では、高齢化が進む中で、「アンチエイジング」という言葉が氾濫し、若さを保つことが至上命題のように扱われています。しかし、この価値観は本当に正しいのでしょうか。年齢を重ねることは、本当に失うことばかりなのでしょうか。

私の人生観は、この固定観念を根底から覆すものです。私が考えるのは、年を重ねることを単なる物理的な老化と捉えるのではなく、経験と知恵を積み重ね、味わい深く円熟していくプロセスとしての「熟成」です。

「年をとることは老いることではなく、熟成されていくことだと思うようになりました」

この言葉には、人生後半戦を迎えた私の深い想いが込められています。熟成とは、ワインやチーズ、あるいは日本の伝統的な味噌や醤油のように、時を経ることで価値と深みを増す状態です。単純に古くなるのではなく、時間という要素が加わることで、若い時には持ち得なかった豊かさと奥深さを獲得していく。これが私の考える「熟成」の本質なのです。

進化から熟成へのパラダイムシフト

私は、自身の人生設計において、30歳、40歳、50歳の時に「進化できているか」が大事だと捉えていました。若い頃の「進化」とは、スキルの習得、キャリアの向上、経済的な成功など、外的な成長を意味していました。しかし、還暦を前にした今、この「進化」の概念は、単なるスキルアップや地位の向上に留まらず、人生そのものの質を高める「熟成」へと昇華されていきました。

正直いつ死ぬかはわかりません。死生観について「以前よりはその確率は高くなっているかと思います」。しかし、そこには悲観や諦めは微塵もありません。むしろ、限られた時間だからこそ、その一瞬一瞬を大切に、そして豊かに生きようという強い意志があります。

家族に語り継がれる人生

私が望むのは、単に長生きすることではありません。「楽しく人生を終えるためにせめて家族には語ってもらえる人にはなりたいです」。

これは、自己満足的な成功ではなく、他者に対する影響力と価値提供を通じて、人生の深みを増していくという熟成の定義そのものです。家族に語り継がれる人生とは、どのような人生でしょうか。それは、困難に立ち向かった勇気、他者への思いやり、そして何より、前向きに生きた姿勢が記憶に残る人生だと思います。

私のキャリアを振り返ると、学生時代に「可能な限り行動してみました」という数多くの経験を積み、30歳での独立という目標を「最短」で実現するために積極的に動いてきた軌跡が見えます。バブル期の大手企業をわずか1年で辞め、独立への道を歩んだ決断。これらの経験が積み重なることで、人間としての円熟味が生まれ、老いるのではなく、人生が豊かに熟成されていくのだと感じています。

ビジョンが導く熟成の方向性

熟成の哲学は、仕事への姿勢にも明確に表れています。私は「仕事に就くための理由はいらないと思います。ただし、ビジョンは必要だと思います」と考えています。

熟成したプロフェッショナルは、目先の業務や地位にこだわるのではなく、自らの持つビジョンを追求します。私の場合、それは「未来へ向かった軌跡に感動の道を提供します」という企業理念に集約されています。このビジョンは、単なる事業目標ではなく、人生をかけて追求する価値であり、熟成のプロセスを方向づける羅針盤となっています。

熟成の絶対条件 ー 「健康」の維持と自己への投資

健康なくして熟成なし

私の「熟成」の人生観において、最も厳しく、しかし最も重要視しているのが、健康の維持です。私は明確に「健康でないと熟成されないと思います」と考えています。

この言葉の重みを理解するには、熟成というプロセスの本質を考える必要があります。ワインが熟成するためには、適切な温度と湿度、そして酸化を防ぐ環境が必要です。同様に、人間が熟成するためには、心身の健康という基盤が不可欠なのです。

いかに経験や知恵を積んでも、それを活かすためのエネルギー、すなわち心身の健康がなければ、人生の深みや豊かさを追求することはできません。病気で寝たきりになってしまえば、新しい経験を積むことも、人と交流することも、ましてや他者に価値を提供することも困難になります。

趣味としての健康維持

興味深いことに、私は健康維持を単なる義務ではなく、自身の「趣味」として位置づけています。「健康、体形維持のためのライフスタイル」を趣味とすることは、一見すると奇妙に思えるかもしれません。しかし、これこそが持続可能な健康維持の秘訣なのです。

趣味とは、自発的に楽しみながら行う活動です。義務感からではなく、楽しみながら健康を維持することで、それは苦痛ではなく喜びとなります。ジョギングを「しなければならない」と考えるのと、「楽しみたい」と考えるのでは、継続性に大きな差が生まれます。

私は「限界を設けませんが気持ちはパワーアップできるために、心と体のケアは必須です」と考えています。これは、熟成のプロセスを支えるためには、単なる身体的な健康だけでなく、精神的な健康、つまり「気持ち」のパワーアップが不可欠だということです。

年齢に応じた食生活の智慧

健康へのこだわりは、日常の食生活にも明確に現れています。好きな食べ物として、私は「自分の年齢に合った体にいい食べもの」を挙げています。

これは単純なようで、実は深い洞察を含んでいます。20代の体が必要とする栄養と、60代の体が必要とする栄養は異なります。若い頃と同じ食生活を続けることは、体に負担をかけ、熟成どころか劣化を招きかねません。

流行のスーパーフードや極端な食事法に飛びつくのではなく、現在の自分自身の身体が必要としているものを冷静に見極め、摂取する。これは、プロフェッショナルな自己管理の徹底だと思っています。若い頃、私は「3年という期限で、習得できることはすべてものにしたい」と考え、最短での独立を目指していました。このストイックな目標達成への姿勢は、年齢を重ねた現在、人生を「熟成」させるという長期的な目標へと転換され、その実行の基盤が「健康」に置かれているのです。

ポジティブな生き方を支える「生涯楽しめること」の発見

内発的モチベーションの源泉

熟成の人生を歩むには、持続的なポジティブさが必要です。私はその秘訣を、「生涯楽しめることを見つけて、時間を忘れてでもやり続けることを持てば、自然とモチベーションは上がり、ポジティブにもなるのでは」と考えています。

「生涯楽しめること」とは何でしょうか。それは、外部からの報酬や評価がなくても、純粋にその活動自体が楽しく、充実感を与えてくれるものです。画家が絵を描くこと、音楽家が楽器を演奏すること、研究者が真理を探求すること。これらは、時に経済的な報酬を伴わなくても、その人の人生を豊かにします。

時間を忘れて没頭できる活動があるということは、外部の刺激や強制力に頼ることなく、内発的なエネルギーによって自己を推進し続けることができる状態を意味します。これは、定年後の人生を考える上で特に重要です。会社という外部の枠組みがなくなった時、何が自分を動かすのか。その答えが「生涯楽しめること」なのです。

妄想と実行のサイクル

私の特技は「自分で決めたことは即実行」です。この実行力は、楽しみを見つけ、それを継続的に追求する上で強力な武器となります。

「こういうことが出来たらいいなと妄想してその中で実行できるものにチャレンジしていきたい」

この言葉には、熟成の人生を生きる秘訣が隠されています。「妄想」とは、現実に縛られない自由な発想です。年齢を重ねると、「もう歳だから」「今更無理だ」という制限を自分に課しがちです。しかし、私は妄想することを止めません。そして重要なのは、その妄想を妄想で終わらせず、「実行できるものにチャレンジする」という点です。

この「妄想」と「実行」のサイクルを回すこと自体が、私にとっての「楽しみ」であり、人生を熟成させる原動力となっています。新しいことに挑戦し、時には失敗し、そこから学び、また次の挑戦へ。このプロセスこそが、人生に活力を与え、熟成を促進するのです。

苦労を楽しみに変換する思考法

ポジティブな姿勢は、私のキャリア戦略とも一貫しています。若者へのメッセージとして、私は「苦労の先の楽しみをみようとするために苦労を苦労と思えないくらい先の楽しみを描くようにしています」と伝えています。

これは単なる精神論ではありません。マラソンランナーが、ゴールテープを切る瞬間をイメージしながら走るように、人生においても、苦労の先にある喜びを描くことで、現在の困難を乗り越える力が生まれます。

熟成の人生とは、ネガティブな要素に焦点を当てるのではなく、常に未来の楽しみを描き続けることで、現在を前向きに生きる姿勢なのです。年齢を重ねても、常に「楽しみ」を見つけ続けることができれば、人生は決して下り坂にはなりません。

熟成の究極の目標 ー 「多くの方との関わり」による豊かさ

個人的成功から社会的貢献へ

熟成した人生の最終的な到達点として、私が今、最も求めているのは、物質的な成功や地位よりも、「より多くの人とのかかわり」です。

還暦前の現在、「より高いものを求めるより、より多くの人とのかかわりを求めたい」と意識が変わりました。

若い頃は、自分の成功、自分の成長、自分の幸福を追求することが中心でした。しかし、熟成の段階に入ると、自己の充実だけでは満足できなくなります。自分が培ってきた知恵や経験を、他者との交流を通じて社会に還元し、さらに自己の人生を豊かにしたいという、利他的な欲求へと移行するのです。

「出逢いの必然性」が導く豊かな人生

私の座右の銘は「すべての出逢いは偶然ではなく必然」です。この哲学は、熟成の人生において特に重要な意味を持ちます。

熟成のプロセスにおいて、人との関わりは単なる社会活動ではなく、自己進化を促す必然的な要素となります。新しい人との出会いは、新しい視点をもたらし、自分の固定観念を打破し、成長の機会を与えてくれます。

「人生は楽しいということを多くの方と関わることにより豊かに前向きになりたいです」

この言葉には、人との交流が単なる楽しみではなく、人生を豊かにし、前向きにする原動力であるという確信が込められています。孤独な成功者よりも、多くの人と喜びを分かち合える人生の方が、真に豊かな熟成を遂げた人生と言えるでしょう。

協働による夢の実現

私の姿勢は、今後の事業展望にも直結しています。「一人(一企業)ではできないと諦めていたことを実現しようと思っています」という決意。そのために、同業、異業種の企業や個人及び自治体を含めて、協働を目指しています。

若い頃は、自分一人の力で何かを成し遂げることに価値を見出していました。しかし、熟成の段階に達すると、他者の力を借りること、協力することの価値を理解します。自分の枠を広げ、多くの人々の力を結集することで、一人では不可能だった大きなビジョンの実現が可能になるのです。

企業理念である「未来へ向かった軌跡に感動の道を提供します」を実現するために、私は自己の限界を認識し、それを超える方法として協働を選びました。これこそが、熟成した人間の知恵だと感じています。

幸せと健康のための空間創造

私が最終的に目指すのは、「多くの方に幸せで健康になるために場所、空間を作っていきたい」というビジョンです。

これは、私自身の健康哲学と、他者への貢献を融合させた、熟成の集大成ともいえる目標です。自分が健康の重要性を実感し、それを維持する努力を続けてきたからこそ、その価値を他者にも提供したいという思いが生まれます。

「まずはその場所を作り上げ、一人ではなく多くの方とかかわっていきたい」

この行動指針は、熟成の人生が最終的に他者との共生を通じて達成されることを示唆しています。自分だけの幸福ではなく、多くの人々の幸福に貢献することで、自身の人生もより豊かに熟成していく。これが私の描く理想の人生像なのです。

限界を設けず進化し続ける「熟成」の道

私の人生観、「年をとることは老いることではなく、熟成されていくこと」は、新しい人生の捉え方を提示したいという想いから生まれました。

熟成とは、過去の努力、現在の健康、そして未来へのビジョンが三位一体となって初めて成立する、継続的なプロセスです。それは、年齢を言い訳にせず、常に自己進化を求めるポジティブな生き方です。

この熟成の道を歩むために必要な要素をまとめると、こうなります。

まず第一に、「健康でないと熟成されない」という事実を受け入れ、心と体のケアを徹底すること。健康は義務ではなく、人生を楽しむための基盤として捉えることが重要です。

第二に、「生涯楽しめることを見つけて」、内側から湧き出るモチベーションを燃料とすること。外部の評価や報酬に依存せず、純粋に楽しめることを持つことで、人生は常に前向きに進んでいきます。

第三に、「より多くの人との関わり」を求め、協働と貢献を通じて人生を豊かにすること。自己の成功から他者の幸福へと視点を移すことで、人生はより深い意味を持つようになります。

私のキャリアが、最短での目標達成と無限の可能性への挑戦によって彩られてきたように、熟成の人生とは、自身に限界を設けず、多くの人との関わりを通じて豊かさを追求し続ける、前向きな「軌跡」そのものなのです。

年齢を重ねることの本当の価値とは、失うことではなく、獲得すること。衰えることではなく、深まること。終わりに向かうことではなく、新しい始まりに向かうこと。

「熟成」という概念を人生に取り入れることで、私たちは年齢に対する恐れから解放され、むしろ年を重ねることを楽しみにできるようになると思います。ワインが年月を経て価値を増すように、私たちの人生も、適切なケアと前向きな姿勢があれば、時間とともにより豊かで味わい深いものになっていく。これこそが、私が皆さんに伝えたい、新しい人生の在り方なのです。

 

●プロフィール
川辺 勝也(株式会社ファーバルデザイン 代表取締役)

「すべての出逢いは偶然ではなく必然」
──この言葉を人生の羅針盤とし、建築というフィールドを通じて“人と空間の幸福な関係”を追求し続ける建築哲学者。
滋賀県出身、1966年生まれ。


■ 哲学と軌跡

幼少期から「この世に自分の名を刻む生き方をしたい」と願い、学生時代には「30歳で独立」という明確なビジョンを掲げた。
その目標を最短で実現するために、人生を10年ごとに区切り、常に“時間を味方につける生き方”を貫く。

バブル期にハウスメーカーへ入社後、わずか1年で転職を決断。
それは迷いではなく、「独立」という通過点に向けて、必要な経験を貪欲に積み上げるための戦略的な選択だった。

「感謝されること」と「金銭で評価されること」──
川辺氏がプロフェッショナルとして掲げるこの二軸は、建築という仕事を“感動産業”へと昇華させる指針でもある。
依頼されたことをただこなすのではなく、“+αの付加価値”で心を動かすことこそが真の仕事の喜びであり、信念の源だ。


■ 現在の活動と人生観

還暦を目前にした今もなお、川辺氏は挑戦の歩みを止めない。
「年を重ねることは老いることではなく、熟成すること」
──この信条のもと、健康維持を人生の礎とし、心と体を磨く日々を過ごす。

休日は五感を刺激する旅を好み、自然や文化に触れながら「自分という器を磨く時間」を大切にしている。
こうした日常の積み重ねが、空間づくりにおける“感性の厚み”を育んでいる。


■ 未来への展望

個の成功から、共創の時代へ。
川辺氏の関心は「一人で成し遂げること」から、「仲間と共に未来を創ること」へとシフトしている。

企業理念である
「未来へ向かった軌跡に感動の道を提供します。」
──この言葉に込められた想いを体現すべく、同業・異業種・自治体と手を取り合い、“感動のあるまちづくり”に挑む。

最終的なビジョンは、「人々が幸せと健康を感じながら過ごせる空間を創造すること」
それは建築を超えた“ライフデザイン”の領域であり、川辺氏が人生をかけて描く軌跡の集大成である。

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